Alois Lagederの個性的な新アイテム入荷
今週はすごく個性的なイタリアワインが入荷してきました。イタリア北部、トレンティーノ・アルト・アディジェ州の生産者、アロイス・ラゲデールからの新作「コメッツ」シリーズ全6アイテムです。
アロイス・ラゲデール
ドロミティー山の麓に広がる55haのブドウ畑はオーガニック、もしくは厳密なビオディナミ農法で造られており、ビオディナミ認証として名のあるデメテール認証も受けています。
ワイナリーではブドウの他、野菜の栽培や家畜も飼育しており、畑に放たれることもしばしば。自然の多様性に敬意を持ちながら、ラグレインなどの土着品種、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種のワインを造っています。
今回入荷したのは、Comets(コメッツ)と呼ばれる新たなシリーズ。「彗星」の名前を標榜したこのシリーズは毎年少量生産、様々な実験的なワインメイキングが試されています。
ラベルにある彗星を模したペイントは、ワイナリーで人の手で行われており、1本として同じデザインはありません。この生産者のクラフトマンシップがよく表れたラベルデザインです。
コメッツシリーズで生産者が試みているワインメイキングはなかなかに挑戦的なものです。例を挙げると、
・白ブドウ品種の全房発酵
・300品種以上のフィールド・ブレンド
・マルチ・ヴィンテージのブレンド
・ゲヴェルツ・トラミナーの樽熟成
・忘れられた土着品種の復興
・機械化以前のワイン造りへの回帰
味わいもやはり個性的、そしてもちろん美味しいです。
土着品種で仕込むペトナット
コメッツ・ミュス・トゥエンティー
5,500円(税込)
モスカート・ジャッロとミュラー・トゥルガウという2つの品種を掛け合わせたペットナットのスパークリングワイン。モスカート・ジャッロは全房発酵をかけており、アロマティックな香りに加え、独特の苦みが 興味深いワインです。
品種:モスカート・ジャッロ 2/3、ミュラー・トゥルガウ1/3
ゲヴェルツトラミナーの新たな可能性
コメッツ・アサ・シックスティーン 2016
5,500円(税込)
こちらのワインはワイナリーの造るアム・サンド・ゲヴェルツトラミナーと同じワインですが、通常ワインができた後瓶熟成をかけるのに対し、こちらはアカシアの樽で2年もの長期熟成をかけたワインです。ゲヴェルツトラミナーをはじめとするアロマティックなワインは、通常華やかなフルーツの香りを活かすために樽の熟成はかけませんし、これほど長く樽熟成させる白ワインも珍しいものです。
品種:ゲヴェルツトラミナー
驚異の約300品種のブレンドワイン
コメッツ・ジー・エイティーン 2018
5,500円(税込)
このワインは、実験的に世界中の様々な品種を植えたワイナリーの畑から採れた300以上もの品種を、全て混醸して造った特殊なワイン。全房で3週間もの発酵を経て、古いバリックで28か月熟成させます。
品種:約300品種のフィールドブレンド
ピノ・グリージョの全房発酵&マルチ・ヴィンテージブレンド
コメッツ・ピポ・スリー
5,500円(税込)
ピノ・グリを房ごと木製容器で数か月醸したワイン。2016, 2017, 2018の3つのヴィンテージをブレンドしより複雑で滑らかな味わいになっています。ピノ・グリは黒ブドウと白ブドウの中間のグレー色をしているので、色も白ワインよりは、ややピンク色を帯びているのが特徴です。ワイン名のPIPO³のうち「PIPO」はこのブドウがとれるPORERという畑、そしてこのワインのPink色から、「³」はブレンドされているヴィンテージの数を表しています。
土着品種ブラッテルリーの伝統的表現
コメッツ・ブラ・ブラ・ブラ
5,500円(税込)
ブラッテルリーという忘れ去られた土着品種を使った白。トラクターの搭乗前は、収穫したこの品種は牛を使って運んでいました。その際運搬中に振動でブドウがつぶれる関係で、全房発酵のようなものが起きていたらしく、それを再現したようなワインです。全房で3週間ほど醸し、2017, 2018, 2019の3ヴィンテージをブレンドしています。
土着品種スキアーヴァを使ったコメッツシリーズ唯一の赤。
コメッツ・ナッチュ・フォー
5,500円
ワイナリーの持つルーミグバグという著名な畑に植わる、樹齢の高いスキアーヴァから造った赤。ワイン名はこの品種のドイツ名Vernatchから来ており、2016, 2017, 2018, 2019の4ヴィンテージのマルチヴィンテージブレンドです。
下記は生産者がこのシリーズのリリースに当たって寄せたメッセージです。アルト・アディジェの地で約200年続くワイナリーの矜持、伝統に対する敬意と、過去を継承しつつ未来を見出そうとするワイナリーの姿勢がひしひしと伝わってきます。
コメッツ~続く衝動~
私たちは長い歴史を持つワイナリーなので、私たちは常に自分たちの行いや限界に疑問を投げかける責務があると自負しており、それが次の未来へとつながると信じています。私たちは幸運にもアルト・アディジェの多様性に満ちた環境に囲まれており、その地勢、マイクロクライメイトにより形作られてきた文化や伝統、歴史、それらはこの多様性によって紡がれてきたものです。
自然は常に変化し、私たちの地域もやはり変化しています。変わりゆく環境の中で私たちが成長し継続的に発展していくということは、何かに挑戦したり境界を押し広げることでのみ達成されます。
私たちはワインを通して斬新さ、精密なクオリティ、そしてなにより生きる活力を伝えたいとの思いでワイン造りに邁進しています。
ライムストーンの土壌はどんな影響をワインに与えるのか?
火山性の土壌はブドウにどのような影響を及ぼすのか?
全房発酵を一部取り入れることでワインのストラクチュアにどんな変化が現れるのか?
温暖化による酸の低下にどう対応すべきなのか?
疑問や葛藤は尽きません。
このワインに込めた「彗星」はきらめき、軌跡を残し、燃え尽きる。その軌跡は数年残るものもあれば、数秒と絶たずに消えるものもあります。それらは心象を残し、私たちの日々の行いの導きともなるものです。私たちのつくるコメッツ(彗星)シリーズは、試みることの楽しみ、革新への渇望、それらを通して知る私たちの限界、がテーマです。それぞれのコメッツシリーズは唯一無二の個性を持っており、指紋のように一つ一つのボトルが手造りです。ラベルの彗星のマークは一つ一つのボトルが指で描かれています。