新進気鋭のドイツ生産者 Battenfeld Spanier
ドイツの新規生産者ご紹介第2弾。本日は気鋭の若手生産者が続々頭角を現している産地「ラインヘッセン」から「バッテンフェルト・シュパニア」のご紹介です。ラインヘッセンは、歴史的にはラインガウやモーゼルといった産地に隠れ、カジュアルな甘口ワインの生産が主流でした。時代は流れ、最近ではドイツの辛口ワインの格付、VDPに参加する若手の生産者の活躍が目覚ましく、次のライジングスターとも呼べる生産者が続々脚光を浴びています。
ワイナリー概要 Battenfeld Spanier
バッテンフェルト・シュパニアは、ラインヘッセン南部ヴォンネガウに居を構えるワイナリー。この地ではWittmannやKlaus Kellerなどが著名な生産者として知られています。1993年にハンス・オリヴァー・シュパニアにより設立された比較的若いワイナリーです。2005年よりビオディナミを行っており、ロワールのビオディナミ農法の先駆者ニコラ・ジョリーが主宰するLa Renaissance des Appellationにも加盟しています。VDPの公式ホームページには、現当主ハンス・オリヴァー・シュパニアのインタビュー記事が載っています。当主ハンス・オリヴァーの飽くことなきワインへの探求心が伝わってくる内容です。Q. あなたのワイナリーの特徴は何でしょうか?
A. ワイナリーが位置する町ホーエン・シュルツェンはヴォンネガウの最南端に位置し、この地域は石灰質の下層土で有名で、私たちワイン生産者には見えない宝-巨大な石灰岩-が地表に眠っている土地です。ブドウ樹は石灰岩土壌の下では多孔質で水を蓄える岩に深く根を張ることができ、この地域は、ドナースベルク山によって西からの雨風が遮られるため、夏は他の地域よりも乾燥しています。すると、水を蓄える石灰がその力を存分に発揮し、熟した活力のあるワインができ、根が深いため果実のアロマよりも石のアロマが強調されるのです。
Q. あなたのワイナリーの哲学は何ですか?
A. 2005年以来、私はビオディナミによる有機農法を拡大してきました。化学的な肥料を使うことが土壌やブドウ樹に負担をかけてしまうということはすでに自明のことです。しかし、この土壌に関する影響を鑑みることも重要ですが、昨今起きている気候変動に関連し、過度に増え続ける日照にどう対処していくかも、私たちの大きな課題で、その重要度は近年さらに増してきています。調剤やハーブを使うことで、ブドウ樹は大きく成長しました。ブドウ樹はより均一に成長し、暑さや湿度への反応も良くなり、病気や過熟を防ぐのに役立っています。ニコラ・ジョリーが設立した「ルネッサンス・デ・アペラシオン」の会員になることは、名誉であり使命でもあります。ビオディナミに取り組む他のワイン生産者との意見交換は、さらなる発展のための重要な柱の一つとなっているのです。
「私が興味を持つのは、ワインが土地の個性として出す石や土壌の香りで、それらは果実のアロマを超えた奥深さがあります。」
Q. どのようなスタイルのワインを目指しているのですか?
A. 私はワインを造るにあたり、行動と放任の間、理性とリスクの間を探求しています。ブドウ栽培は、毎年、いやほとんど毎日がユニークです。私はワインメーカーとして物事を判断するときは、これまで学んだこと、過去の成功例をすべて忘れなければなりません。そうでなければ、自身の直感が働く余地がないからです。この直感がなく理性に従ったワインメイキングを続けると、無難なワインが出来上がりますが、それは残念ながらワインの場合、恣意的に造られたつまらないものになってしまいます。私にとってブドウは、ヴォンネガウ南部の強い石灰質の土壌をワインに変換する通訳のようなものです。そして、それこそが私の興味なのです。儚い果実の向こうにある、石や土のアロマのスペクトラムを。踊るようなミネラル。塩辛ささえ感じる独特のキャラクター。これは、リースリングにもシルヴァーナーにも、白にも赤のブルゴーニュにも当てはまります。
Q. あなたのワイナリーをまだ知らない人に、いわば手始めとして、どのワインを薦めますか?
A. 私たちのアイスクヴェル・リースリング・トロッケンです。私たちは単にリースリング・グーツヴァインと呼んでいますが、シルバーラベルのこのワインは、ヴォンネガウの石灰質の急斜面に育つリースリングのブドウを厳密に選別したものです。手摘みで収穫され、選果台で再度選別された後、二重構造の大樽で熟成され、春先まで「シュール・リー」されます。バッテンフェルト・シュパニアのプレミアムワインの世界への入り口として、このワインのクオリティの高さを味わっていただきたいです。口に含むと、ミラベル・プラムのアロマが感じられ、素晴らしいジューシーさが伴います。はっきりと現れるミネラルと正確なスタイルが、ワインを多層的で刺激的なものにし、2口目、3口目と自然と楽しめる、爽やかなワインです。
Q. では逆に特に誇りに思っているワインはなんですか?
A. グロース・ラーゲであるフラウエンベルグです。この畑は1999年にあるワイン生産者からプレゼントされたもので、私の最も愛着のある重要な畑です。表土は砕けた石灰岩、下層土は純粋な石灰岩で構成されています。フラウエンベルクの露出した場所と高い尾根には、高品質なブドウ樹を生み出す地理的条件が揃っています。ミネラルは豊富だが非常に痩せた土壌で、ブドウの木は養分にアクセスするために非常に深く根を張る必要があり、高品質なブドウ樹が育つ条件に満ちています。フラウエンベルクのリースリングは、石のアロマが支配的で、ハーブのスパイス、涼しげなタバコのアロマ、洗練された酸味、鉄のようなミネラルのストラクチャーが特徴的です。口に含むと、ワインはクリーミーですが、まだ硬さを感じるかもしれません。彼には時間が必要なのです。
Q. なぜ、ワインメーカーになったのですか?
A. 17歳の時に大きな交通事故に遭わなかったら、プロのアスリートになっていたかもしれませんね。準備の完璧さ、身体的な可能性に敏感に耳を傾けること、忍耐力、そして最後に結果として最大のパフォーマンスを発揮すること、これらの組み合わせは、物心ついたときから私を魅了し続けています。最終的には、ワインメーカーとしての私の仕事もこの魅力を引き継いでいます。ただ、今私が耳を傾けなければならないのは、土壌とブドウです。リースリングは私のビジョンです。ここヴォンネガウでは、土壌と光をより正確に、より美味しくワインに反映させることのできるブドウはリースリング以外存在しません。私は、リースリングの果実の香りはワインが若い時にある一時的なもので、石の香りや味わいこそがリースリングの本質だと考えています。今では農場は30ヘクタール近くにまで拡大し、家族に加え、強力な従業員チームも加わりました。この成功は、チームワークの賜物であり、そのために私は一匹狼からチームプレーヤーに成長しなければならなかった。私は、ワイン造りをスポーツだとも思っています。
Q. ロールモデルはいますか?
A. 私の祖父です。
グローセス・ゲヴェックス Frauenberg
フラウエンベルク・リースリング・グローセス・ゲヴェックス 2021
14,300円(税込)
グローセ・ラーゲ Kirchenstuck
キルヒェンシュトゥック・リースリング・グローセス・ゲヴェックス 2021
13,200円(税込)
キルヒェンシュトゥック・シュペートブルグンダー・グローセス・ゲヴェックス 2018
13,200円(税込)
リースリング、シュペートブルグンダーが植わるこの区画は、海抜150m南-南東向きで、リースリングが大多数ですが一部シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)も植えられています。ワイナリーではこの2品種どちらも造っています。
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