マーガレット・リヴァーの先駆生産者「ヴァス・フェリックス」ウェブセミナー

先日、社内勉強用にワインのセミナーを開催しました。西オーストラリアの名産地、マーガレット・リヴァーの「ヴァス・フェリックス」とつないでのリアルタイムセミナー。とても興味深い内容でしたので、ブログにおこします!

 

ヴァス・フェリックスはマーガレット・リヴァー創業5生産者に数えられる名手で、医者であったトム・カリティ氏によって1967年設立されました。当時はもちろんこの産地が今日のような名声を得てはいなく、2エーカーの小さな畑と質素な醸造施設から始まったこのワイナリーは、今では3つのプレミアムヴィンヤードと収穫から瓶詰めまでの全ての工程を行う最先端のワイナリーを持つまでに発展しました。

 

 

フライト1. カベルネ・ソーヴィニヨン

1.Tom Culity 2017

2.Cabernet Sauvignon 2018

3.Filius Cabernet Sauvignon 2019

 

生産者指定のテイスティング順を見ると、なんと白ではなく赤ワイン、しかもトップ・キュヴェから始まるというとても興味深い物でした。

最初のワインはこのワイナリーのトップ・キュヴェであるトム・カリティの最新2017年。元々シャルドネと同じく「ヘイツベリー」の名前でリリースしていましたが、創設者の名前をとったワインへと名前を変えています。ワイナリーが設立した1967年に植樹された古樹のみを使用するワインで、カベルネ全体の生産量の僅か3%という限定生産です。赤ワイン、しかもこのワインが最初である理由は2番目のワインとの比較で分かりました。トム・カリティは「Elegance, Finesse, Precise」をコンセプトにして造られており、余韻にかけて酸が美しく伸び、林床、グリーンペッパー、リコリスなどのクラシックなボルドーワインのような香りが残り、繊細で正確なバランスが光るワインです。一方2番目のカベルネ・ソーヴィニヨンは、アルコールの重み、タンニンのグリップ、たばこやコーヒーの香りが残るフルボディのワインでした。トム・カリティをトップにした理由は、トップ・キュヴェのエレガンスを十分に感じられる順番ということでした。3番目のワインは、フルボディながらもフルーツがより新鮮、赤い果実も混ざるようなフレッシュさも備えたワインです。

 

フライト2. シャルドネ

4.Filius Chardonnay 2020

5.Chardonnay 2020

6.Heytesbury Chardonnay 2020

マーガレット・リヴァーのシャルドネといえば、この地方特有のクローンがあることで有名です。「ジンジンクローン」と呼ばれるこのクローンは、メンドーサクローンと関連があるとされており、ブドウの粒が同じ房の中でもばらつきが大きく、出来上がるワインは果実の成熟感が強く出ることで知られています。3番目のトップ・キュヴェ、ヘイツベリーはこのジンジンクローン100%で造られており、類まれな凝縮感が特徴です。今回の3アイテムはいずれも2020年の若いヴィンテージのものでしたが、こちらも余韻まで残るしなやかな酸が共通しており、グレードが上がるにつれて、果実の種類が、アップルやシトラス→桃のコンポートやマンゴーなど、熟度が増してくるのが印象的でした。また、ニューワールドのワインとして異質なのは、樽での発酵・熟成を行っているところです。通常ニューワールドのシャルドネは生産規模が大きいことから、大容量のステンレスタンクでワインを醸造し、その後樽に移して熟成するワインが多いのですが、醸造から樽で行うことによって、樽の香りが香り全体に溶け込み、味わいのバランスも調和のとれた美しいものになります。今回のアイテムは全て2020年と若いワインですが、落ち着きのある優れたバランスを見せていました。

 

フライト3. スパークリングワイン

7.Idee Fixe NV

 

ヴァス・フェリックスの新しいプロジェクトとして生産を開始したスパークリングワインが、イデー・フィクス。マーガレット・リヴァー南部のカリデールという地域に畑を購入し、南極により近い冷涼な地域で育つシャルドネは、スパークリングワインに相応しい酸を持っています。リリースは未定ですが、塩気を感じるほどにミネラル感が際立つ味わいが好印象でした。日本に来るのが待ち遠しいですね!

 

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