シェフのお料理コラム ~Cannele de Bordeaux~

皆様こんにちは
Cellar Door Aoyamaのシェフ緒方です。

Cannele de Bordeauxというお菓子を知っていますか?Bordeauxと名がついている通り、フランス ボルドー地方で誕生したお菓子です。日本でもひと昔ブームになりましたね。外側がカリッと香ばしく、ラム酒が香り高く中はもっちり、しっとりと柔らかい。私がフランスにいた時、今まで見たことも食べたこともない造形や美味しさに感動したお菓子のひとつです。
実はワインと密接な関係のあるお菓子でもあります。今回はカヌレの誕生秘話とCellar Door Aoyamaのカヌレについてお話ししたいと思います。

Cannele de Bordeaux誕生秘話

時は17世紀に遡ります。当時よりワインの生産が盛んで銘醸地だったボルドー。高品質な赤ワインを作るにあたり欠かせない作業が「清澄」という工程です。清澄とは発酵したブドウ果汁の澱や不純物を取り除き、クリアで綺麗なワインにすること。ボルドーでは清澄するにあたり、鶏の卵白を使用していました。樽の中に泡立てた卵白を加え、しばらく置いておくと濁りの原因になるワインの不純物や澱を卵白が抱き込み、下に沈殿するので上澄みのワインを別の容器に差し替えればクリアで透明度の高い綺麗なワインに仕上がるわけですね。

そうなると大量に余る卵黄。

ワイン造りを主に行っていた女子修道士達は何かに使えないだろうかと考え、女子修道院で生み出されたのがCannele de Bordeauxでした。今でこそボルドーには600にも上るカヌレ製造業者がおり、どのパティスリーにも置いてあるメジャーなお菓子ですが1789年により始まったフランス革命より女子修道士たちは追われ、カヌレの誕生やレシピに関わる書類は全て失われてしまいました。なのでこれらのお話は一説に過ぎません。謎に包まれたお菓子でもあるのです。

Cellar Door AoyamaのCannele de Bordeaux

Cellar Door Aoyamaでは常に手作りカヌレを置いています。1年ほど試作を重ね、生まれたカヌレですが普通のカヌレと違う点がいくつかあります。

ラム酒ではなくコニャックを使用していること。バニラをたっぷり使っていること。通常カヌレはラム酒を使用しますが、当店のカヌレはより香り高いコニャックをたっぷりと使用しています。カヌレとワインを合わせるにあたり、より樽の風味が強く香り高いコニャックを使い、高価な白ワインによく見られるバニラの香りに合わせるために通常の1.5倍のバニラを使用し香りを限界まで抽出しています。焼き方も研究を重ねました。230℃の高温で外側を焼き固め、中はもっちりと。約1時間じっくり焼成することにより外側カリカリ食感が生まれます。



そんな紆余曲折あり誕生したカヌレ。Cellar Door Aoyamaで是非ご賞味いただけたらと思います。

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