ワインの格付け色々

Written by 松永文吾

こんにちは。Cellar Door Aoyamaのスタッフ松永です。最近はうだるような暑さが急に引いて冷え込んだり、昨日の冷え込みがまるで無かったかのように暑くなったり、季節の変わり目を感じる今日この頃です。本日のブログはワインの評価・格付けについてです。

さて突然ですが、皆様がワインを購入する際のポイントは何でしょうか。好みの品種・産地に生産者など、自身の経験に基づいた基準があると選びやすいですが、そういったものが定まっていない場合どうでしょうか?また、自身の好みから離れて発見が欲しい時にはどうでしょう?そういう時はやはりワインの批評家たちが造る各種評価誌、また昔から続くワインの格付けなどが役立ちます。

ボルドー、ブルゴーニュの格付け

ワインの格付けで古くから有名なものとして、ボルドー・メドックの1855年格付けがあります。当時のネゴシアン間での取引価格を基にしたといわれ、現在61シャトーが1-5級まで格付けされていますが、ほとんどのシャトーは独自のワイン哲学と向上心を持ち、巨大な資本を背景に設備投資を惜しまず、正に格付けに相応しいクオリティを提供し続けています。毎年どこのシャトーが醸造設備を刷新した、有名シャトーのコンサルタントがこの年から関わり始めた、など話題にも欠かず、ワインの最新テクノロジーをいち早く知れる産地でもあり、各シャトーのスタイルの進化・変化は常にチェックしておく必要があります。 
フランスのもう一つの有名産地、ブルゴーニュにおいても格付けがあります。ボルドーの格付けとの相違点は山ほどあるのですが、本質的に違うのは生産者ではなく土地(畑)に対する格付けであること、つまりワインの質が直接格付けに反映されている点です。修道士が何百年もその地でワインを造るうちに特定されてきた、毎年素晴らしい質のワインを作り出す畑が正確にプルミエ・クリュもしくはグラン・クリュに格付けされています。先述の通りボルドーの格付けは、シャトーという生産者単位、取引価格を基準に格付けされており、ワインの質の他、ブランディングや市場の原理が働いています。また、同じ生産者でも所有者や畑はこの100年余りで変遷を繰り返しているため、当初の格付けより上等と評価されているシャトーやその反対の例もあります。一方、ブルゴーニュでは畑に対し格付けがなされます。土地というものは基本的には動きませんので、格付けに対する評価は今日まで不動のものとなっています。もちろん、その中でも格付けの見直しが一部で行われていたり、土壌の流出や地球温暖化の懸念、同じ畑でも所有者の変遷など、変化する要素がないわけではないのですが、ボルドーの格付けより安定した状態といえるでしょう。
ただ、これらのワインは格付けが100年以上も前から続くものであったり、フランス以外のすべての国でこれらの優れた格付けがあるわけではありません。また、ワイン・アドヴォケイトをはじめとした評価誌も大きな指標となりますが、年間購読というハードルがワインラヴァーの腰を重くします。前置きが長くなりましたが、本日は現代においてどんなワインが注目されているのか、無料で調べられる例を2つご紹介します。

Wine Searcher - 'The most successful, and seriously useful, price comparison website' (Jancis Robinson MW).

ニュージーランドに拠を置くネットベースのワインサイト、Wine-Searcher。あらゆるワインについて、世界各国のマーケットでの価格を調べることができます。単なる検索機能だけでなく、ワイン産地やブドウ品種の概要も閲覧でき、これらの特徴を掴むのにも役立ちます。
このサイトの興味深い格付けに、「最も検索されているワイン」という指標があります。文字通りこのサイトで一番検索されているワインをトップ100形式で開示しており、まさにリアルタイムでワインのトレンドを調べられます。また、年に一度年間ランキングも発表されており、文字通り「The most sought-after(最も探し求められる)」ワインが分かります。検索数という指標が現代的で面白いですね。
 Wine Searcherの「最も検索されているワイン」のリンクはこちら⇒https://www.wine-searcher.com/top-wines
今日(2021/9/10)見る限りでは、やはりボルドーワインの名が多くみられますね。

Langton’s Classification - オーストラリアのオークションハウス発、5年ごとに更新されるオージー専門の格付け

画像引用:Langton's Classification Ⅶ(https://langtons.com.au/classification#viewwines

もう一つご紹介するのは、オーストラリアワイン専門の格付け。Langton’sはオーストラリアワインに特化したワインオークション会社で、最近ではここで開かれたオークションで、ペンフォールズのグランジ1951年、幻のファースト・ヴィンテージが67,000ドル(約543万円)で落札され、オーストラリアワインとして最高額を付けたことでも話題になりました。この会社が1990年から出している格付けは、プレミアムオーストラリアワインの指標として活用されています。この格付けは約5年ごとに更新されており、最新2018年のもので第7版となります。ワインは上から「Exceptional」「Outstanding」「Excellent」の3段階に分けられ、生産者ではなくワイン1商品を単位としているので、1つの生産者から複数のワインが格付けに選ばれることもあります。格付けに選ばれる基準は
・10ヴィンテージ以上作っているワインであること
・オークションをはじめとした流通市場においての記録
の2点。砕いていうと、オークション市場において名が通っているオーストラリアワイン、といえるでしょう。
格付け一覧のリンクはこちら⇒Langton's Classification version 7(リンク先ページ下部に格付けの記載があります。)
格付けには、ペンフォールズ、バス・フィリップ、ヘンチキ、ルーウィン・エステート、ジム・バリー、ジャコンダ…。国際的に名の知れたこれらのワインのうち、名前を聞いたことのあるワインもいくつかあるのではないでしょうか。いずれも機会があれば味わっていただきたい、オーストラリア大陸の各産地を色濃く表現したワインです。
本日は、このLangton’s Classificationについて、格付けされているワインのセットを2種類ご用意しました。格付けされているワインだけを集めた豪華セレクションに、格付けワインをつくる生産者入りのエッセンスが感じられるセットです。Langton's Classificationに格付けされている当店扱い品のページもご用意しましたので、是非ともこちらのワインもチェックしてください。

当店扱いのLangton's Classification格付けワインはこちらから。
Langton's Premium Setはこちらから。

現在ではこれらの他にも、ドイツのVDPや中国の新疆(Ningxia)の格付けなど、伝統産地での時代に沿った格付けの見直しや、新興産地での格付けの機運の高まっており、格付けに対するマーケットの動きは活発です。ワインの最新情報を収集する手段として、是非ご活用ください。

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