Crus Beaujolais
Here for an English translation
いよいよ夏がやってきました。この季節にセラードア青山がご紹介したいのは、口当たりがよく、少し冷やすと更に美味しい、そしてその真価が誤解されがちなフランスの銘醸地、ボージョレです。
ボージョレ、特に村名付きのクリュ・ボージョレのワインは、フードフレンドリーで本格的なクオリティを、手の届きやすい価格で楽しめる優良アペラシオンです。
毎年11月にリリースされる「ボージョレ・ヌーボー」が有名なので、ボージョレといえばこのワインを想起される方も多いかもしれません。しかし、この産地の真価は新酒で語るには不十分です。本当のクリュ・ボージョレは、花崗岩質の特徴的なテロワールを見事に表現する、複雑で深みのある香りを持ったワインです。若い時の華やかに開く芳香は特筆すべきものがありますが、その北側にあるコート・ドールの偉大なワインにも引けを取らないほど、素晴らしい熟成ポテンシャルも備えています。
本日はセラードア青山が選りすぐった新規2生産者を紹介します。いずれも日本初輸入、少量生産のこだわりのワインメーカーです。
フレデリック・オブラン (ブルイィ)
Frederic Aublanc – Brouilly
フレデリック・オブランは、ブルイィの曲がりくねった道のさらに奥地に居を構えるドメーヌ。一見質素な見た目のメゾンの中には、古いヴィンテージのワインが並ぶアーチ天井のセラーがあります。
彼の一族はブルイィの他、ブルゴーニュとシャンパーニュでも200年以上ブドウを栽培している歴史あるドメーヌ。フレデリックは1980年代よりワイン作りをはじめ、今日では7haの美しい古樹が植わる畑でブドウを有機栽培しています。
伝統的なセミ・カーボニック・マセレーションで、人的介入を最小限にワインを仕込みます。亜硫酸塩も極力使用を控え、ブドウの質によっては亜硫酸無添加にすることもあります。この製法を「ナチュラル」なワイン、という捉え方をされることもありますが、あくまでフレデリックは昔から行っていることを忠実に守っているだけなので、「伝統的」と呼んでいます。ブルイィの斜面が多く多様なテロワールを職人的手法で表現しており、生産量も限られるため、フランス国内でも探し求められるワインで、まして国外市場に出ることも大変稀です。
ワイナリーは3つのキュヴェを作っています。3つのヴィンテージのワインを巧みにブレンドした希少なシャルドネに、Tentation(誘惑)と呼ばれる、3つの区画、2つのヴィンテージをブレンドした、ジューシーでフレッシュな赤。さらにドメーヌの伝統的なスタイルが表現されたブルイィは、深みのある香りに高い熟成ポテンシャルを誇ります。
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クロ・ド・ラ・ロワレット
Clos de la Roilette
クロ・ド・ラ・ロワレットの畑は、フルーリーの村の東側、ムーラン・ア・ヴァンに隣接する丘に位置しています。畑は南-東-北向きの好立地。名前のようにこれらの畑はクロ(石垣)で囲われてはないのですが、この土地に精通した所有者がクロの名前を名付けたといわれています。ただし、この畑はクロと呼ぶにふさわしいほど土壌が特異で、このアペラシオンのほぼすべてにみられる花崗岩質の土壌とは異なり、粘土を含む独特の土壌が広がっています。実はこの地は元々ムーラン・ア・ヴァンのアペラシオンだったのですが、フルーリーに変更される憂き目にあっていました。当時はフルーリーよりもムーラン・ア・ヴァンの方がより名を馳せていたため、オーナーはラベルにフルーリーのアペラシオンよりも目立つように馬のデザインを置き、それが今ではワイナリーのシンボルになっています。
9haの広大な畑は東向きの好立地。マンガン質の豊富な粘土質の土壌に植わるガメイは手によるオーガニック、サステイナブルな栽培で丁寧に作られています。醸造においては古典的な手法、すなわち全房をプレスし、野生酵母によりセミ・カーボニック・マセレーションを行っています。
クロ・ド・ラ・ロワレットのワインはクリュ・ボージョレの有名なナチュラルワインと一緒にリスティングされていますが、これらのワインはこのエリアの評価を高めてきました。抜栓してから数日の間は香りが開いていき、何年も熟成していきます。
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