新規扱いワイナリー、レジ・ポワシネが位置するのはシャンパーニュ地方のヴァレ・ド・マルヌ。シャルドネの名産地コート・デ・ブラン、アイ村など優れたピノ・ノワールを生み出すことで名のあるモンターニュ・ド・ランスに比べ、ヴァレ・ド・ラ・マルヌは優れたピノ・ムニエを生み出す産地として知られています。ポワシネ家は17世紀よりこの地でブドウを栽培してきた老舗のグローワーで、1974年には最初のボトリングを行い、ドメーヌとしての歩みを始めました。1983年、現当主のレジ・ポワシネが参画しましたが、彼は当時弱冠14歳。その時から自然との調和を哲学にしたワイン造り、ビオディナミの考え方を取り入れた小規模レコルタン・マニピュランとして知られていました。現在は6代目に当たるマクシムと共に、自然のダイナミズムに則ったワイン造りを実践しています。

ワイン造りの哲学

ワイン造りはビオディナミに代表されるように、自然を尊重した栽培に力を入れています。ワイナリーの哲学を語るにあたり、レジ・ポワシネはアルバート・アインシュタインの言葉を引用しています。

“The most beautiful and deepest experience a man can have is the sense of the mysterious. It is the source of all true art and true science. Behind anything that can be experienced there is a something that our mind cannot grasp and whose beauty and sublimity reaches us only indirectly…” ALBERT EINSTEIN “The World As I See It”
人間が持つ最も美しく最も深い経験は、神秘的な感覚である。それは、すべての真の芸術と真の科学の源。経験できるすべてのものの背後には、私たちの心が把握できないものがあり、その美しさと崇高さは間接的にしか私たちに到達しない......。アルバート・アインシュタイン 「The World As I See It」より

科学を突き詰めて自然の法則を発見、応用してきたアインシュタイン。その彼が説く自然の神秘性、つまり科学では突き止められないものが存在し、それが崇高であるということは、自然に対して謙虚であることの重要さを教えてくれます。殺虫剤や肥料等の科学の発展により生まれたものを用いて自然のバランスを壊すよりも、自然のあるがままを観察し、それを受け入れていくようなブドウ栽培を目指すレジ・ポワシネの姿勢がよく表れた引用です。

ワイナリーのロゴのペガサスや、ワイン名にみられる「イリゼ」の名はギリシャ神話におけるイリス神を指しており、これは地上と天国、神々と人を繋ぐ象徴的存在であることから、ワイナリーの哲学を体現する存在として採用しています。 ラベルのデザインを手掛けているのはスイスで活躍するデザイナー、Thomas Jedrzejak氏。彼の繊細な絵のタッチは、クラフトマンシップ溢れるレジ・ポワシネの哲学を精妙に表現しています。

ピノ・ムニエ×ビオディナミ×エクストラ・ブリュット

レジ・ポワシネが所有するのは、ヴァレ・ド・ラ・マルヌに広がる粘土石灰質、シルト石灰質の7haの土壌。35ものプロットに分けて畑を管理しています。樹齢は平均40年もの高樹齢で、凝縮感と品種個性をもつブドウが、シャンパーニュに唯一無二の個性をもたらします。植えている品種の多くはピノ・ムニエで、シャルドネやピノ・ノワールが補助的に植えられています。

畑は全てビオディナミ。カバークロップを多用して、畑の生態系を豊かに保つことで、ブドウ樹とそれを取り囲む環境・動植物との良好なバランスを保っています。

出来上がるワインは、ドザージュを抑えたエクストラ・ブリュットのスタイル。果実や花、スパイス等独特のムニエの香りが花開く一方で、味わいにも透明感があります。高いクオリティに確かな個性を感じるレジ・ポワシネのセレクションは、年産2000本に満たないキュヴェも存在するほど希少です。ぜひ一度新しい時代のピノ・ムニエの魅力を味わってください。


TERRE D'IRIZEE NV
テール・ディリゼ NV
11,000円 (税込)

ピノ・ムニエ84%、シャルドネ16%のブレンド。2013年~2016年のブレンドで、リザーヴワインは39%使用。1.7g/lのドザージュというエクストラ・ブリュットのスタイルです。樽熟成、タンク熟成併用。ラベルデザインは、レジ・ポワシネの所有畑の調和のとれた生態系そのものを表現しています。


Terre de Rose
テール・ド・ロゼ NV
11,000円 (税込)

ピノ・ムニエ80%、シャルドネ20%のロゼ。シャンパーニュでは珍しいマセレーションで造られるロゼで、鮮やかな色調に個性的なピノ・ムニエの花とスパイスの香りが感じられます。樽熟成100%、957本限定生産。ラベルに描かれたクジャクはロゼの華やかな味わいを表現しています。


Irizee Meunier 2013
イリゼ・ムニエ
22,000円 (税込)

ワイナリーのプレスティージ・キュヴェ。2013年のピノ・ムニエ100%、デゴルジュマンが2017年4月と、長期熟成のブラン・ド・ノワールです。樽熟成100%で、トースティーな香り、さらにシナモンブレッドやカスタードケーキといった層になった複雑な熟成香が広がります。