シェフのお料理コラム ~タルトタタン~

皆様こんにちは。
Cellar Door Aoyamaのシェフ緒方です。

今回は林檎のお菓子のお話。
林檎のスイーツといえば色々ありますよね。アップルパイ、タルト etc…
今や全世界で好んで食べられる林檎。フランスでも日常生活には欠かせないフルーツとなっています。
私が料理やお菓子を学びはじめ、衝撃を受けたスイーツのひとつがタルトタタン。

下にサクサクのパイ生地を敷いてあり、綺麗な茶色にキャラメリゼされた林檎。
これまでアップルパイしか知らなかった私にとって、とても驚いたのを覚えています。

実は、失敗から生まれたお菓子なのを知っていましたか?

そんなタルトタタンの誕生秘話と、Cellar Door Aoyamaのタルトタタンについてお話したいと思います。

タルトタタンの誕生秘話

タルト・タタンは、とある姉妹がアップルパイを作ろうとして失敗し、
偶然にも出来上がったのがはじまりとされています。

19世紀後半、フランス・ソローニュ地方のラモット=ブーヴロン村に、
タタンという名の姉妹が経営する小さなホテル “HÔTEL TATIN” がありました。

ある日、料理人である姉のステファニー・タタンが、いつものようにアップルパイを作る際、うっかりタルト生地を入れ忘れてしまいました。
すでにしっかりと火が入ってしまった林檎。
そこで妹のカロリーヌ・タタンが機転を利かせ、タルト生地をかぶせて焼いてみたのでした。

諦め半分で型から外すと、そこには香ばしくキャラメル色に焼き上げられた林檎と、サクサクのタルト生地。
とても美味しそうなお菓子が出来上がった、というのが一説として現代にも受け継がれています。

その後、このお菓子はホテルのスペシャリテとなり、瞬く間に広がり、世界的に有名な伝統菓子となりました。

Cellar Door Aoyamaのタルトタタン

タルトタタンの定義として「しっかりと炒められた林檎」「炒められた林檎がピュレ状にならず、形を保っていなければならない」という決まりがあります。

当店のタルトタタンは基本のクラシカルなレシピに忠実であり、
なおかつアレンジとして林檎の火入れの方法に重きを置いています。

大鍋でキャラメリゼした砂糖にたっぷりの林檎を加え、洋酒グランマルニエで香り高くフランベします。
少し蒸し焼きにし、キャラメル香を林檎全体に馴染ませます。崩れるか崩れないかギリギリのところで型に丁寧に詰め、低温のオーブンでじっくりと3~4時間焼成し、林檎の香りと甘みを最大限に引き出します。

タルト生地も勿論手作り。
生地に少しゲランドの塩(フランスの海塩)を加えることにより、林檎の甘さ・酸味がより引き立ちます。

そして欠かせないのがアイスクリーム。
熱々のタルトタタンと冷たいアイスクリームを一緒に食べるのがたまりません。

マダガスカル産バニラをたっぷり使ったアイスクリームにコニャックを効かせます。

そんなタルトタタンですが、毎年冬期限定でお出ししています。
ご来店の際はぜひ、ご賞味いただけたらと思います。

 

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